こんにゃくはかつて「運だま」と呼ばれていました。
昭和30年頃まではきちんとした栽培方法がなく、作柄が不安定でちゃんと育つかどうか育ててみないと分からなかった事から「運まかせ」的な作物ということでそう呼ばれていたようです。
また台風や病害の影響を受けやすいだけでなく、タネイモの保管が非常にデリケートで冬を越すのも大変だったそうです。
昔の栽培方法「自然生畑(じねんじょうばたけ)」
同じ土地に同じ作物を繰り返し作り続けると病気になったり、育ちが悪くなったりします。
これは、土の中の養分が偏って起こると言われています。
こんにゃくに限らず、トマト畑のおじさんの家でほうれん草を栽培していたのでなぜか聞いてみると、
「養分の偏りをリセットするため」と言っていたのを思い出しました。
自然生畑が可能な地域
こんにゃくの自然生畑は1年生、2年生、3年生のコンニャクが1つの畑に入り混じっているので何年作り続けても大丈夫なんだそうです。
しかし育つ環境が限られています。
■コウゾ、ミツマタ、キリが近辺にある
夏は日をさえぎり、冬は落ち葉で保温され土の乾燥も防ぐ。
■南斜面
冬の間南からの太陽の光で温められ、地面の中にあるこんにゃくは寒さの害を受けない。
■斜面の上に杉やヒノキがある
風よけや山崩れ、土砂から守る。
■土の質
小石が混ざっていて土の層があつい場所。水はけがよく水持ちも良い。
■気温・気候
年平均気温が13℃くらいの霧が発生しやすいところ。
実際に自然生畑をご存じの方は教えてくださると嬉しいです。
大規模栽培が困難
自然生畑は野生に近く、育つ条件が多くあるため広い地域での栽培が困難です。
そのうえ、1年生、2年生、3年生のコンニャクが1つの畑に入り混じっているので機械での収穫が難しく一度に多くの作業をするのが難しいなどデメリットがたくさんあります。
このことが大規模栽培へ発展しない要因と言えます。
品種改良「はるなくろ」「あかぎおおだま」
日本で古くから栽培されている品種は「在来種」「備中種」「支那種」の3種類です。
昭和40年代に群馬県農業技術センターで普通の畑でも連鎖障害がでにくく、育てやすいこんにゃくの品種改良や栽培方法が研究され、在来種と支那種を掛け合わせた「はるなくろ」「あかぎおおだま」が誕生しました。
在来種はマンナンが多いが病気になりやすい、支那種は品質は劣るけど大きく育ち病気にも強い。
それぞれの長所を生かし作られた品種です。
二つの品種は大きく育ち、病気にも強くて育てやすく、生芋からとれる精粉の量も多いという特徴を持っています。
こんにゃくの量産化を手助けしてくれた品種であり、今の群馬県の生産量日本一に貢献したと言えるでしょう。
こんにゃくの成長過程
1年生:5月上旬キゴの植え付け→6月発芽→7月葉が開く→10月葉が黄色くなって枯れる→11月2年生とキゴの収穫
2年生:5月2年生芋の植え付け→6月発芽→7月葉が開く→10月葉が黄色くなって枯れる→11月3年生とキゴの収穫
3年生:5月3年生芋の植え付け→6月発芽→7月葉が開く→8月花芽が出来る→10月葉が黄色くなって枯れる→11月4年生とキゴの収穫→花芽のついた芋は販売
花芽のついた芋:4月花茎が伸びる→5月花が咲く→9月受粉していれば実が出来て枯れる
1年生から2年生のコンニャク芋は5~10倍の大きさに成長。
2年生から3年生のコンニャク芋は5~8倍の大きさに成長。
3年生から4年生のコンニャク芋は4~7倍の大きさに成長し、それ以上は大きくならない。
こんにゃく芋は生子から育てるとまる3年かかります。
冬の間はこんにゃく芋を保管しますが、保管の仕方もとても難しいです。
次回こんにゃくの保管方法や栽培方法などを解説予定です。
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